推し活写真はイメージです Photo:PIXTA

今メディアで話題に上ることが多い「推し活」。対象はアイドル、アニメのキャラクターに限らず、自分にとって「好き」で「応援したい」対象ならどんなものでも「推し」になります。特に、15歳から24歳の学生の約8割が「推しがいる」「推し活をしている」といいます。ビジネスにおいても推し活が注目されていますが、ただやみくもにキャラクターを作ったり、既存の人気コンテンツとコラボすればいいかというと、消費者はそれほど甘くはありません。推し活ビジネスに必要な考え方を押さえておきましょう。※本稿は、瀬町奈々美『推し活経済 新しいマーケティングのかたち』(リチェンジ)の一部を抜粋・編集したものです。

「推し活」を知ることがビジネスの強みに

 日本における推し活消費額は2020年度に400億円超に到達、18歳から24歳の推しを持つ人の34%が、1カ月に3万円以上を推し活へと投資していると回答している。

 今や「推し」が人々の消費の中心として大きな存在感を放つこと、そしてその考え方を味方につけることができれば、ビジネスにとって大きな強みになることがわかる。

 長年推し活を行い、大学で経営学を学ぶ私が感じているのは、「推し」は決してエンタメの世界だけに存在する話ではないということだ。エンタメの世界ではないビジネスの現場、例えば町のパン屋、お花屋、BtoB営業、食品メーカー、アパレルなど、どんなビジネスの現場でも「好きの気持ちを育てる方法」「好きの気持ちを大切にする方法」を心得ることができれば、この「推してくれる人=応援者」「推される環境=応援される環境」を持つことは可能である。

 そして自分のビジネス活動に「推してくれる人」がいるということは、この先長い未来を一緒に歩んでくれる新たな仲間の存在がいるということを意味し、不安定で変化の早い現代において、あなたのビジネスは唯一無二となっていくだろう。

 2019年、お菓子「たべっ子どうぶつ」を手がける株式会社ギンビスは、実際にビジネスに「推し要素」を取り入れることで注目を集め、大きな影響力を生み出した。ギンビスは発売から30年以上が経つお菓子「たべっ子どうぶつ」に、10代20代という新たな層を取り入れるため、クッキーの形として登場する動物たちをカプセルトイにして発売した。するとカプセルトイの発売後、トイになった各動物たちに対しての「好き」を表明する人が続出、このトイに関する問い合わせが殺到した。