でも、その人の好きなところ――私はとにかく彼女の踊っている姿が大好きでした――をSNSやブログに書いているうちに、「あんなに美しく踊っている姿を私に見せてくれたことに感謝すべきだよな……退団を悲しんでいる場合ではないよな」と思えて、なんだか立ち直ってきたんですよ。
世間や他人の声に惑わされず
自分の想いを言葉にする
三宅香帆 著
これは私の一例にすぎませんが、推しっていろんなことがあるじゃないですか。私が経験したように、退団や卒業がいきなりやってくることがある。スキャンダルを起こしてしまうこともあるかもしれない。世間をざわつかせる騒ぎを起こすことがあるかもしれません(縁起でもないですが)。
そんなとき、世間や他人の声に惑わされず、自分の推しに対する想いを言葉にすることができたら、推しに対する大切なものを見逃さずにすむはずです。
その大切なものは、人によって異なりますが。むやみやたらに他人の言葉に影響されて、自分の想いを見失うことはなくなります。
何度でも言いますが、他人の感情なんて、基本的には「推し」と「自分」の間において、なんの関係もないじゃないですか?
SNSで推しの素晴らしさを伝える文章を書くコツは、大量に流れてくる自分以外の人が発した言葉たちから、いかに自分の言葉を守れるか、なのです。