モンスター部下への有効な対策は
常に目的を明確にすること
パワハラの相談窓口は、労基署の上部組織である、労働局の総合労働相談コーナーですので、多くの場合は労働局を紹介されるか、弁護士に相談するようにうながされることになるはずです。
ですから、もし私が部下に「労基署(弁護士のところ)に行く」と言われたら、「どういう目的で労基署(弁護士のところ)に行くの?」と確認をします。そのうえで、まずは部下の話を冷静に落ちついてしっかり聞くようにします。
この、「常に目的を明確にする」ということは、ほかにもさまざまなシーンで有効です。
![書影『上司いじめ――企業法務弁護士が教える上司のためのハラスメント対応法』(あさ出版)](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/f/200/img_cfb2b7a500d91889d32228d4e40ea4d799132.jpg)
國安耕太 著
たとえばあなた自身が、社内外の労働相談窓口や弁護士に相談するときにも、
●「上司いじめ(編集部注/部下や後輩による上司や先輩に対する不当な攻撃)」の対応について、相談にのってほしいのか
●会社の対応が不満で、どう手を打てばいいのか教えてほしいのか
●会社が「上司いじめ」を見過ごしていることを、改善するよう指導してほしいのか
●労働審判(編集部注/使用者や会社と労働者間のトラブル解決に特化した紛争解決制度)申し立てのための、弁護士を紹介してほしいのか
など、目的をまず意識すると次の行動計画を立てやすくなります。
ちなみに、万一、部下から労基署や弁護士への相談をちらつかせて金品等を要求されたら、その部下の行為は恐喝罪(刑法第249条)に当たる可能性があります。めったにないとは思いますが、心にとめておいてください。