注意・指導の内容が業務上必要かつ言動も適正な範囲であれば、相手に対して「適切な注意・指導の範囲内でパワハラには当たらない」ことをきちんと伝えましょう。

パワハラと捉えられないためには
「具体的」に伝えることが不可欠

 ちなみに、パワハラととらえられない指導の仕方は、次のとおりです。

(1)問題解決を目的に

(2)感情的にならない

(3)人格や性格を否定しない

(4)どのように改善すべきかを具体的に伝える

(5)どのように部下に伝わったかを確認する

 たとえばつい口をついて出てしまう、「何で(どうして)できないんだ」という言葉。これは相手を不快な思いにさせる、デンジャラスクエスチョンとされています。

 いわれたほうはすでに何らかの負い目を感じているので、「こんなこともできない私なんかどうせダメだ」と落胆するか、逆に「何でかがわかっていれば、とっくにやってるわ!」とカチンとくるに決まっています。

 また、これまた上司の立場だと言いがちな、「ちゃんとしろ!」という言葉も同様です。

 指導や指示にあたっては感情的な言葉やあいまいな言葉は避け、具体的に何をどうすべきなのか――たとえば作業を時間どおりに終わらせてほしいのか、丁寧にやることを優先してほしいのかなど――を伝えるべきです。

 昔から「察する」「行間を読む」のは日本人の美徳といわれますが、ビジネスにおいては「察してくれる」ことを期待せず、明確な言葉で指導や指示をすることが間違いのない方法です。