「今日、何をしなければいけないか」を明確に伝える
リーダーがまずしなければいけないのは、部下が「求められている成果」を出すために「今日、何をしなければいけないか」を明確に言語化し伝えることです。
そしてそれは当然ながら、成果に結びつく行動でなければいけません。「いい感じにやっておいて」というようなあいまいな指示では、リーダーの責任を放棄していると言わざるを得ません。
ぼくがまだ若いころのことです。そのときについた上司は、ひたすら「上司の役割は、『責任をとること』だ」と口にしていました。そして同時に「いいよなぁ、お前らは。責任とらなくていいからよ」とこぼしていました。
ぼく自身、まだまだ仕事を覚えたてという感じで、一人前には程遠かったですが、この「上司の役割は責任をとること」というフレーズに強烈に違和感を持ったのは覚えています。
リーダーの役割のひとつに「チームメンバーがやらかしたミスの責任をとること」があるかもしれません。しかし、それはリーダーの役割の一部であって、それさえしておけばいいというわけではありませんね。
「自分で考える部下が欲しい」はリーダー失格?
リーダーの本来の役割はチームメンバーを正しい方向に誘導することです。何をすべきかを指示し、動きが間違っているときには軌道修正をすることがリーダーの役割です。
自分で考えさせなければいけない、すべてを教えてはいけないという反論もあろうかと思います。それはそのとおりだとぼくも思います。ですが、部下が自分で考えて動けるようになるのは、大枠の方向性を理解しているからです。
それを理解する前に「自分で考えろ」と言うのであれば、あらゆる学校が不要になります。学校でも全部「自分で考えろ」と生徒を突き放したほうがいいということになってしまいます。
自走する部下が欲しい、部下が自分で考えて自分で行動してほしいと感じている上司は多いです。また、責任は自分がとるから、自由にのびのび仕事をしてもらいたいというフレーズが、懐が深い上司の代名詞として扱われることもあります。
ですが、もしそう考えている方が、何をしたらいいかをメンバーに丸投げして考えさせているとしたら、リーダーとしては失格です。
リーダーの仕事は責任をとることではありません。責任をとる前に、メンバーのアクションを明確にするほうがよっぽど重要なのです。