もちろん些細なことでつねに大騒ぎするのはどうかと思う。それではあなたは単なるお騒がせキャラだ。やがて、あなたの声を真に受けてもらえなくなるかもしれない。
しかし、まったく声を上げられない職場も問題だ。課題解決できず、組織にとっても本人の精神衛生上も不健康である。必要なときは助けを求めて騒げる職場の方が望ましいだろう。
まずは全体のトラブルについて騒いでみる
騒ぎにくい職場の空気を変えるには、とにかくまず誰かが騒いでみる。それが基本である。
とはいえ自分で受けた仕事などで騒ぐのは憚られる。そこで職場全体に影響があるような事象やトラブルが発生したときに、まず騒いでみよう。全体に影響があるもののほうが騒ぎを受け入れられやすい。
たとえば、通信ネットワークのトラブルが発生したとする。
「あれ、いきなりネットにつながらなくなったんだけど、僕だけ?」
このように騒いでみる。
あなたが情報システム担当者なら、「ただいまネットワークトラブルが発生しているようです。状況の確認にご協力ください!」と声を上げてみる。周りの理解や協力も得られやすいだろう。
大げさにしすぎず、正しく騒ぐ習慣を
あなたがチームのリーダーなら、「もっと騒ごうよ」「声を上げよう」と、それこそ声を上げて鼓舞してほしい。
こうして、困ったときに騒いでいい景色を小さく創る。
それでも声を上げるのが憚られるようであれば、近くの人や同僚に「これ、騒いだ方がいいですかね?」と、まず相談するとよい。周囲の合意を得てから、正しく騒ごう。
とはいえ、何でもかんでも大ごとになる組織風土も重苦しい。正しく騒ぐ文化も大事だが、同時に大げさにしすぎないコミュニケーションやマネジメントも求められる。その点については、また別の項でお伝えしよう。
・自分だけで解決できない困りごとが発生したら、まず騒ぐ
・職場全体に関わる困りごとの際に率先して声を上げてみる
・「これ、騒いだ方がいいですかね?」と周りに相談してみる
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。