「今日」は一体、いつまで?

ここで重要なのは、「今日」という言葉の定義が会社や人によって異なるということです。

「今日中」と言いましたが、あなたはいつも「何時に」その作業を終えてその人に戻そうと考えていたのでしょうか。

定時が17時の会社であれば17時かもしれませんし、17時10分まで、19時まで、24時まで、というように相手が考えている可能性もあります。

もしくは、「相手が翌朝にチェックできるように送りますね」という意味で今日中と言ったのであれば、またニュアンスも変わってきますよね。

「期限を守らないヤツ」と思われるリスク

実はこれは非常にリスキーです。

たとえばあなたが、上司からの要望に対して、自分の他の予定を優先して「24時まで」(=あなたにとっての「今日中」)に仕事を完了して終えたとしましょう。ここでもし、その上司が「17時まで」(=上司にとっての「今日中」)を期待してしまっていたらどうでしょうか。

おそらく、上司はあなたのことを「期限を守らないヤツだ」と、かえって、減点するでしょう。しかもあなたはそれが悪いと気づいてすらいないので、特に謝罪もしないはずです。

これは完全に期待値調整に失敗した「サイレント減点」リスクです。このような曖昧な言葉は、こういった際には使わないに越したことはありません。「17時まで」のように客観的な数字で伝えるか、もしくは「明日出社された際に資料があればOKですか?」のように、目的を明示するなどのようにするとよいでしょう。

同じ価値観を共有している自分の職場だけでもこういったズレがあるということは、もちろん社外にはより大量の「サイレント減点トラップ」が無数に存在しているということです。「余計な減点」を防ぐことで、仕事をしやすい環境をつくることを心がけていくことができれば、より安心安全の環境で仕事をすることができるようになっていくでしょう。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の著者に取材した特別な書き下ろし原稿です)