ストロング版は年間走行距離の多いユーザー向け
看板車種はあくまでマイルド版

 もっとも、無条件におススメできるというわけではない。理由は、パワートレインの出来が良すぎるくらいに良く、価格は20万円近く安いマイルドハイブリッドの存在である。

 ストロング版は確かに燃費が良かったが、マイルド版もクルマの特性への理解を深めて一工夫凝らせば、ストロング版ににじり寄るくらいの燃費を出せる素晴らしいエコ性能を持っている。乗り心地と操縦フィールはマイルド版のほうが優れているくらいだ。

 ストロング版は年間走行距離の多いユーザー向けであって、看板車種はあくまでマイルド版というのが率直な印象だった。

 マイルド版に対してもう一息アドバンテージを確保したいストロング版だが、これをラインナップすることはスズキにとっては少なからぬ意義がある。年々厳しさを増すCO2排出規制に、自力でソリューションを提供可能だと示すこと、また、技術開発の方向性を見失わないための顧客とのコミュニケーション強化などだ。

 折しも今年7月、スズキは環境対応についての新戦略を発表している。車体の小型軽量化、ハイブリッドやBEV(バッテリー式電気自動車)などのバッテリー搭載量削減などで製造時のCO2排出量を極力抑え、元々少ない走行時のエネルギー消費との合わせ技で最先端のエコカーに勝つという、何ともスズキらしいストラテジーである。

 ソリオのストロングハイブリッドも、技術開発の進展次第ではもっとベネフィットの大きな武器となるだろう。今後に大いに期待したいところである。

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