わかりやすい例で言えば、日々電気を使うごとに、自動車や公共交通機関を動かすごとに、化石燃料は消費されていきます。

 もう一歩踏み込んで考えてみると、毎回の食事においても私たちは地球を消費しています。

書影『森と算盤 地球と資本主義の未来地』(大和書房)『森と算盤 地球と資本主義の未来地』(大和書房)
渋沢寿一 著

 日本の食料自給率の低さは、耳にしたことがあるでしょう。現在、カロリーベースの食料自給率は38%(令和元年度)、6割以上の食料を海外から輸入していることになります。

 一方で、スーパーやコンビニには、いつでも棚に食材やお弁当が並び、余ったものは捨てられています。本来食べられるにもかかわらず捨てられている食品のことを「食品ロス」と呼びますが、令和3年時点での食品ロス量の推計値は、523万トンでした。つまり日本は、燃料を使って海外から食料を運送し、大量に廃棄していることになります。

 日本は戦後、付加価値の高い工業製品などの製造に注力し、食料は海外から安く調達するようになりました。その方が効率が良いと考えたのです。そうして現在では、食料の6割以上を海外に頼るようになったのです。こうした食料の流通を可能にしたのがグローバル経済(世界規模でのモノと金の移動の仕組み)であり、コールドチェーン(低温物流)という物流技術の革新でした。おかげで多様な食料を安く仕入れることができるようになったのです。