現在、長野の本社に配属されて2年目。当人は「まだまだ仕事を学んでいる段階です」と控え目だが、既存の機種のアップデートに伴い、関連部品やオプションパーツの設計を手掛けるなど、社会人としての滑り出しは上々の様子である。

「洗車機というのは企業に卸すBtoBの世界ですが、実際に使うのは一般のドライバーさんです。つまりBtoBとBtoC、双方の視点が求められるのがユニークな点で、ドライブスルータイプの門型洗車機の場合は特に、安全性には最大限に留意しなければなりません。もし車の形状を検知するセンサーに不備があれば、車体を傷つけてしまうことにも繋がりかねないですから」

どうしても東京から脱出したかった

 そんな加藤さんはもともと、東京都世田谷区の出身。生まれてから大学を卒業するまで暮らした東京を離れたのは、本人たっての強い希望によるものだった。

「東京で就職する選択肢は、まったくありませんでした。むしろ、大学を卒業したら絶対に東京を出るんだと、強い意思を持っていました。東京は何をするにしてもとにかく人が多い。特に高校時代は、ラッシュアワーに満員電車を2本乗り継いで通学しなければならず、これが苦痛で仕方がなかったんです」

 そこで大学受験の際には、ラッシュと逆行する方向へ通学できる神奈川の大学に狙いを定めたというから徹底している。