車で通勤できることが条件

「地方で暮らしたかったというよりも、車で通勤できる会社に就職したいという考え方が最初にありました。なにしろ電車はもちろん、バスに乗るのも抵抗がありましたから(笑)」

 つまり、加藤さんが就活時に定めた条件は、完成品メーカーであることと、家賃補助もしくは借り上げ社宅があって車通勤が許されていること。その分、選択肢は狭まりそうだが、選ぶべき進路が明確であるため、大学3年の春から始めた就活は「自分でも驚くほどすんなり終えられました」と振り返る。

「ほかにもう2社だけエントリーしましたが、公共交通機関での通勤がマストであったり、全国転勤があるためいずれ東京に戻らなければならない可能性があったり、希望に合わないので受けるのを途中でやめてしまいました」

 幸い、加藤さんのそんな希望を両親はとがめることもなく、むしろ応援してくれたという。仕事内容も申し分のないエムケー精工1社に的を絞ることができたのも、自然な流れだったわけだ。

 Iターン就職にもさまざまな形があるが、加藤さんの長野移住は、極めてデジタルに自身の希望を分析した結果の成り行きといえるだろう。