入試回で増減傾向鮮明な「栄東」

 1月10日朝、JR埼京線や高崎線・宇都宮線に乗ると、主にお母さんと一緒の受験生が大量に乗車しているのに遭遇する。新型コロナ禍を機に、グループ校に会場を分散し、日程も分割したため、かつてのような人の波をJR宇都宮線「東大宮」駅から見ることはなくなったものの、子どもを送ったあと、試験が終了するまで待機する保護者が駅を行き交う列はいまも健在である。

 栄東(さいたま市見沼区)は、[1月10日・11日A](左は入試日、右は入試名。以下同じ)で全国最多の受験者を集める。2024年の受験者数合計は7847人とずば抜けているが、それでいて合格者数合計は4812人、実倍率は1.57倍と程よい。入試問題がオーソドックスで、合格が得やすいこともあって、緒戦としてうってつけな首都圏中学受験を象徴する入試回である。

 中学では東大クラスと難関大クラスに分けられるが、入試回もいずれかの冠をかぶっている。四模試での志望者数は入試回ごとに増減が鮮明で、25年入試の倍率はそれなりに動きそうだ。

 25年のA日程は1月10日(東大)と11日(難関大)で選べる。前者の志望者数は3割減、後者は6割半増となった。24年の受験者数は前者が5522人(うち女子1862人)で後者が2325人(うち女子800人)だった。25年はその差が少し縮まるかもしれない。実倍率は先述したように両者を合わせたものだ。

[12日東大特待I]は、その名の通り東大クラスの特待生を募る入試回だ。4教科型と算数1教科型が設定されている。特待生には3年間と1年間がある。志望者数は1割減で、24年実倍率1.92倍がさらにやや緩和しそうだ。ちなみに、[10日A]の東大クラス特待生は1年間のみで若干名にとどまる。

[16日B]は難関大で、24年に2008人も受験した人気回なのだが、志望者数は4割も増えている。実倍率2.31倍が25年にどこまで上がるかは、合格者の出し方次第だろう。

[18日東大II]は1年間の特待生も出る。こちらは2割ほど減っており、24年実倍率2.01倍から25年は2倍割れも視野に入っている。

 東大クラスは減少し、難関大クラスは増加傾向にある。これまで見てきたように、男女別学難関校が全体的に緩和傾向にあったが、共学校でもコース別で同様の傾向がうかがえる。同じグループの埼玉栄については中堅校のところで扱うが、こちらは全体的に増加傾向にある。