平均層を狙う「開智」の戦略

 埼玉のもう一つの雄である開智学園は、比較的同レベルの学校を県内に3校展開してきた。2024年入試は中等教育学校である開智所沢(所沢市)の開校による周辺校への影響が極めて大きかった。受験生を吸い取られてしまったのだ。巧みなのは、グループ力を生かして、開智と開智所沢など複数の合格が同時判定されるような入試回も設けている点だろう。また、多くの入試会場を設けている点も特徴的で、グループ校以外にも、浦和、さいたま新都心、南浦和、川口の各駅に近いサテライト会場がある。

 原点でもある開智は、24年に2384人が受験した[10日1回]の志望者数は横ばいで、25年も24年実倍率1.64倍程度となりそうだ。[12日2回] (24年は15日に実施)は1割弱減で、24年実倍率2.86倍が25年にはいささか緩和しそうである。

 合格者全員がS特待生となる[11日創発クラス(特待A)]は1割強志望者数が増えており、24年実倍率3.39倍が25年は3倍台半ばに迫りそうだ。一方、[15日特待B](24年は12日に実施)は1割強の減少で、24年実倍率1.61倍がさらに緩和して、25年狙い目の入試回となりそうだ。合格者全員がS・A・準いずれかの特待となる[11日午後算数特待] (24年は12日午後に実施)は微増で、24年実倍率2.11倍(23年は3.76倍もあった!)が少し高まるだろう。

 もう一つ、[2月4日日本橋併願]もある。24年実倍率4.22倍と厳しい入試回だが、日本橋以外にも、開智所沢や開智望の合否も同時判定される。志望者数はどうやら増加傾向にあるようだ。

 今年4月開校のため、開智所沢の志望者数増減は語れない。24年の受験者数と実倍率を見ながら、300人を募集する25年の入試状況を想像してみたい。なお、入学後は30人学級で特待コース(医進・国際・探究各1クラス)と本科コース(7クラス)に分けられる。

 24年に2154人が受験した4科の[10日1回]は、実倍率1.32倍で、開智中学校(一貫部)の合否も同時に判定される。本科コース対象ではあるが、成績優秀者は特待コースへのスライド合格(3人)もある設計だ。四模試の志望者数合計は、栄東の[10日A]と同じくらいいることもあって、25年はさらに盛り上がりそうだ。

 25年の開智所沢の入試回は、開智と同じに設定されている。24年の受験者数が多い順に見ていこう。970人(うち女子が420人)が受験した[12日特待B](25年は15日に移動)は実倍率1.31倍、904人の[15日2回](25年は12日に)は同1.38倍、618人の[11日特待A]は同2.97倍、557人の[12日午後算数特待](25年は11日午後に)は1.59倍だった。[2月4日日本橋併願]は168人が受験し、実倍率は4.8倍と高い。