データの分析方法や、評価などは球団独自のものだ。これらのデータは各球団の資産であり、極秘情報となる。他球団やマスコミなどに無断で情報が漏洩することは、あってはならない。

 多くの球団の選手のデータを取り扱うアソボウズは「情報管理」にさらに神経を使うようになる。アソボウズが開発した「スコアメーカー」やフォームの解析システムは、ゴルフやサッカーなどの他分野のスポーツとも提携を始めた。こういう形で、2000年前後には、NPB12球団のうち10球団がアソボウズのシステムを導入するようになった。

 ただ、10球団が一斉に「情報化」に向けて邁進したわけではない。球団オーナー、経営者の肝いりでシステム導入が決まったとしても、フロントや監督の中には「データ野球」に否定的だったり、不熱心な人もいる。そういう球団では「宝の持ち腐れ」になることも少なくなかった。

 また、監督、首脳陣が交代すれば、これまで構築してきた情報システムが顧みられなくなることもしばしば起こった。そこで球団によっては、しばしば交代する監督、コーチではなく正社員である球団スタッフが、これを習得し、系統的に伝えることも行われた。

※参考文献、片山宗臣『パソコンが野球を変える!』