「店員に対する態度」を見れば
人間の本質が分かる!

 モンスター社員を見抜く方法の二つ目は「会食」。いわゆる「飲み会選考」です。この方法は、問題社員の入社を防ぐためだけでなく、転職候補者が自社のカルチャーに合うかどうかを判断する上でも有効です。

 なぜ会食をするのかといえば、「店員さんに対する態度」を通じて転職候補者の人となりが分かるからです(お酒が入るとボロが出やすくなるからという理由もあります)。サービスを「受ける側」による「提供する側」への振る舞いには、対人関係に関する価値観が凝縮されています。

 ある会社の社長は、自分の部下と転職候補者の3人で一緒に会食へ行き、タイミングを見計らってわざと席を外すそうです。「トイレに行くのでビール頼んでおいてください」などと言って。

 ちょっと嫌らしい感じもしますが、その時に候補者がどんな態度を取るのかチェックするわけです。結果、社長がいなくなると急に緊張が解けて、店員さんに横柄な態度を取った挙句、それが原因で落とされた人もいます。

 もし会食や飲み会をする余裕がない場合は、三つ目の手法である「面接外面接」が有効です。面接でのやり取りだけでなく、転職候補者がオフィスに入ってから退出するまでの立ち居振る舞いなど、その前後の様子に着目して情報を収集するやり方です。

 たとえば、転職候補者が面接のために来社して、受付から応接室に案内される間、どのような対応をするかを見るのです。

 筆者が経営するクライス・アンド・カンパニーでは、当社への入社を希望する人が面接に訪れた際、私の秘書 兼 人事総務担当が必ず案内をします。そして私は面接前、秘書に必ず「どんな感じの人?」と聞きます。

「社長の好きなタイプですが、少しわざとらしい感じもします」
「うちの社風にはちょっと合わない雰囲気です」

 秘書と入社希望者はほんの少しのやり取りしかしていませんが、その印象を評したコメントはとても参考になります。面接に比べれば気が抜けている場面で、秘書が短時間のうちに覚えた違和感は、もしかすると採用における重大な問題点につながっているかもしれないからです。