メールを返す速さにも
転職候補者の本質が表れる

 四つ目の手法としては、「面接の日程調整」などの何気ないコミュニケーションに着目すると、転職候補者の本質を見抜く上で役立ちます。

 たとえば日程調整の電話やメールに即レスしてくれるか、人事側が苛立つくらい返事が遅いか。「Web上でSPIを受けて下さい」と依頼したらすぐ受けてくれるか、期限ギリギリに受けるか。

 当社のような人材紹介会社が間に入っている場合は、担当コンサルタントが面接後に「いかがでしたか?」と連絡したときに、すぐに反応を返すか否か。こうした行動にも、転職候補者の本性や、選考に臨む上での「本気度」が如実に表れます。

 人材紹介会社の例を挙げたことに引っ掛かった読者がいるかもしれませんが、担当コンサルタントは転職候補者の支援をする一方で、もちろん企業の人事ともつながっています。

 もし担当コンサルタントが「この人を推薦しても大丈夫かな?」と違和感を持った場合は、その評価が人事側にも伝わっていると見ていいでしょう。人材紹介会社が誤ってモンスター社員を入社させた場合は、クライアント企業の信頼を失ってしまうからです。

 もちろん、これは当社にも当てはまります。当社はエグゼクティブ人材を扱っていますから、万が一「モンスターエグゼクティブ」を取引先の経営層に送り込んだら大変なことになります。だからこそ間違いがないよう、さまざまなところから転職候補者の情報を収集し、人となりを総合的に判断しています。

 最後にもう一つ手法を紹介しておくと、いわゆる「リファレンスチェック(職歴調査)」も有効です。本人の承諾を得ることが条件となりますが、前職の関係者などにダイレクトに電話をさせてもらい、先方と話をして、おかしな点がないかを確認するのです。

「○○さんはこういう実績があるとおっしゃっていたのですが、これは事実ですか?」

 そうした質問をしたとき、相手がどんな答え方をするかによって、転職候補者の本性が透けて見えてきます。もし悪い話が出てきたら、その候補者は「アウト」でよいでしょう。