2021年上期から24年上期にかけての
輸出数量の減少率
輸出の低迷が目立っている。日本銀行の「実質輸出入の動向」によると、わが国の財の輸出は、新型コロナウイルスの感染拡大直後に大きく落ち込んだ後、2021年半ばにかけて急速に持ち直した。だが、その後は横ばい圏で推移しており、24年上期の実質輸出は21年上期の水準を2.7%下回ったままである。
実質輸出の増減は、品質の向上や高価格製品へのシフトに伴う輸出品の実質的な価値の変化(高付加価値化要因)と、輸出数量の変動(数量要因)に分けて考えることができる。輸出低迷の要因を探るため、21年上期から24年上期にかけての実質輸出の減少をこれら二つの要因に分解すると、高付加価値化要因が実質輸出を6.5%押し上げる一方、輸出数量は9.2%減少しており、数量要因が実質輸出を大きく押し下げていることが分かる。