メール派・電話派…双方に言い分がある

 まずは「メール派」の考え方に触れてみましょう。

 彼らは、「メールであればいつでも見れるから相手の時間を奪わない」という視点を持っています。逆に言うと、自分が仕事に集中しているときは電話で邪魔をしてほしくないという思いが伝わってきます。つまり、メールの方が丁寧派の人たちは、自分の仕事のペースを乱されることを極端に嫌う性質の人たちであることがわかります。

 次に「電話派」の考え方に触れてみます。

 彼らは、「メールで送った場合、相手が気づかないかも知れない」という視点を持っています。逆に言うと、自分の依頼事項はなるべく早く相手に認知してもらいたいという思いが伝わってきますね。つまり、電話の方が丁寧派の人たちは、何が何でも自分の依頼事項は先方に早めに伝えたいという性質の人たちであることがわかります。
 これらを読んで分かるように「メール派」と「電話派」にはそれぞれの言い分があるのです。

「謎文化」には柔軟に対処しよう

 では、どちらにするのが良いのでしょうか。

 先ほどのそれぞれの言い分を見てもわかると思いますが、「絶対の正解」は存在しません。ここでは、僕が書籍で述べている「謎文化」への対応を使うのが現実的な最適解です。

 詳しく説明していきます。「謎文化」というのは、「その職場では当然のマナーとされているけれど、社会では一般的ではない慣習やルール」のことです。みなさんの職場にも、不思議な文化があるのではないでしょうか。こういった文化の恐ろしい特徴は、入社当時は「なんか変」と感じていたとしても、時がすぎると慣れて「ふつうのこと」になり、最終的には「そうして当然」と暗黙のマナー化するということです。

 こういった「謎文化」に逆らってしまうと、あなたは悪いと思っていないのに周りの人がこっそり評価を下げる「サイレント減点」が起きてしまいます。こんな意味のわからない減点、されたくないですよね。

 対策のために、初めて仕事をする人と会った時に、あなたのお客さんやあなたを評価する上司が「何を重視している」のかをしっかりと見極めるようにしましょう。こうした「謎文化」をつかめば、逆に柔軟に利用して「丁寧なヤツだ」と思われる確率を上げることもできます。やっておいて損はありません。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の著者による特別な書き下ろし原稿です)