いつから「中国5000年の歴史」に?モンゴル生まれの帰化日本人が暴く!歴史の書き換えPhoto:PIXTA

『三国志』や『キングダム』などの作品を通じて日本に浸透する中国の歴史と文化。だが、私たちが自明に考える中国史の裏には、「国家による操作」が潜んでいた…。モンゴルに生まれ、中国で学んだ帰化日本人が「中国5000年」のウソを学術的に明らかにする。※本稿は、楊海英著『中国を見破る』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです。

司馬遷の『史記』より『キングダム』

 日本には中国の歴史や文化に詳しい人が多いと感じる。中学、高校で中国の歴史や地理、漢文を学び、大学生や社会人になれば中国関連の単行本や新書を読む。書店にいけば単行本、新書、文庫、漫画、雑誌と各コーナーに中国関連の本が並んでいる。

 エンタメ作品でも、昔の中国を舞台にした小説、漫画、アニメ、ゲームはたくさんある。たとえば、秦の始皇帝たちを描く『キングダム』は、コミックの新刊がいつもベストセラー入りし、テレビアニメのシリーズが続いている。本場の中国でも人気は高く、司馬遷の『史記』は読んでいなくても、『キングダム』のファンという人たちがいるくらいだ。

『三国志』も日本では長らく人気の読み物といえよう。居酒屋で「三国志では趙雲が一番好き」「あいつは曹操タイプだ」と、中国古典の知識が会話に出てくることも珍しくない。そのように、日本人は昔から巨大な隣国を意識し、中国の歴史や文化からたくさんのことを学んできたのは間違いない。

 令和に改元されたときにそのことを認識した日本人もいただろう。日本の元号は、西暦645年の「大化」以来、漢籍の言葉をもとに定められてきた。『大学』『中庸』『論語』『孟子』の四書、『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』の五経が出典として多く、「令和」の出典が『万葉集』だと話題になるほど、「元号は漢籍の言葉」というのが常識だった。

 しかし、である。これほど多大な影響を受けてきたにもかかわらず、日本人の中国理解が本当に正しいものなのかというと、疑問符を付けざるを得ない。言い換えれば、中国の本質を知っているか否かも、疑いたくなる。