病的に怖がりだったビル・ゲイツ

 当時81歳だった稲盛氏は、ビル・ゲイツの評伝を読み、自分と同じような「小心者」であることを知って非常に驚いたという。80歳を超えてなお読書を通じて新たな知見を得ようとする姿は、稲盛氏の学ぶ姿勢の象徴であり、勉強熱心な人物であることを改めて感じさせる。

《マイクロソフト社をつくり、すでにリタイアしてビル&メリンダ・ゲイツ財団をつくったビル・ゲイツの逸話を描いた本を最近読みましたが、驚いたことに彼は大変な小心者だったようです》

《いわゆるシリコンバレーで隆盛をきわめはじめたときのビル・ゲイツの手帳には、「マイクロソフトは大変なことになりそうだ。このままでいったら、近いうちに潰れるかもしれない」と、いろんな状況に直面したときの不安が書かれていました》

《その手帳の内容が地方新聞に掲載されたことがあったそうですが、ビル・ゲイツ本人が書いたものだけに、「華やかに見えるマイクロソフト社だが、実のところ内情は大変なようだ」という話になり、株が一時暴落したそうです》

《その本の著者が、ビル・ゲイツは病的なぐらいに怖がりだったが、そういう小心者が、その小心さを超えて大胆なことをやれたからこそ、真の勇者になれたんだ、と最後に書いていたのが印象的でした》
(前出・プレジデント)