東京大学に通うYさんは、1人暮らしに対して保護者から強い反対を受けていたと言います。

 Yさんの母親には常に娘の動向を把握しておきたいという思いがあり、1人暮らしなどもってのほかと考えていたそうです。Yさんが日頃から積極的に家事に取り組むタイプではなかったことから、「1人暮らしなどできるわけがない」という不安もありました。

 Yさんに関しては、成績が良かったことと学校の先生の説得もあり、東京大学への進学が無事認められましたが、このような保護者の態度で諦めてしまう学生もいるはずです。

『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』(光文社新書)『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』(光文社新書)
江森百花・川崎莉音 著

 現在でも、母親はYさんの居場所を位置情報アプリで確認しており、帰りが遅くなると連絡が来るそうです。

 このような保護者の不安や束縛傾向は、たとえ子どもを大切に思うがゆえのものであったとしても、結果的に子どもの進路の選択肢を狭めています。

 大切なのは、その事実を保護者自身がしっかりと認識することです。

 子どもを守ってあげたい、心配だ、管理下に置きたいという気持ちと、それによって奪われている進学選択肢と、どちらが果たして子どものためになるのかは今一度考えていただきたいと思います。