相談内容も年を追うごとに変化が見られる。相談件数をカウントし始めた2011年は暴力が31パーセントともっとも多かった。ところが2023年度は、暴力が10パーセントに減少し、暴言が39パーセントと最多になっている。
暴言もパワー・ハラスメントも、「『暴力』の相談よりも不適切行為かどうかを判断するのがより難しい」と、同協会は指摘している。
データを見る限り、たしかに身体的な暴力は減ったかもしれないが、より目に見えづらく、グレーゾーンに近いものに姿を変えているように思えるのだ。
選手と対等に話す
関係を築かなかった
ほかにも、競技のレベルが上がれば上がるほど、パワハラ問題も多くなるということを示すデータもある。競技レベルが上がればパワハラ問題も増加するということは、勝つことが優先されるなかで、指導者と選手とのあいだに大きな「ボタンのかけ違い」が生じていることを示していると思う。
そもそも指導者は、勝つという結果を出せばそれでいいのだろうか?
結果を出すのは大事なことだ。でも、結果重視が行きすぎ、選手本人ではなく、選手たちが出した結果しか認めないのでは本末転倒だ。