自分のような若手を
この地域にもっと増やしたい

 こうした三豊市での取り組みが、今では全国各地の自治体から注目されている。

「ありがたいことに、自治体や企業、行政機関など、年間で100を超える視察のご依頼をいただいています。もちろん、僕一人の力でやれていることではなく、三豊市にいる30~40代の元気なプレーヤーの皆さんの協力があればこそですが、そこにこういう20代が入り込んでいけるのは、すごく楽しいことだと思います」

 そして、自身のような若手をこの地域にもっと増やしていくことが、目下の田島さんの大きな目標だ。

「Iターンというのは、時に都会や現状から逃げ出す手段とも捉えられがちですが、絶対にそうではありません。むしろ地方はチャレンジコストが低く、若い人を応援してくれる先輩方が大勢いますから、何かやりたいことや表現したいことがある人には、最高の選択肢だと思います」

 そうした若手を呼び込むための“次の一手”も、すでに構想の中にある。

「今狙っているのは合宿免許です。三豊市にも免許を取るために、全国から多くの若い人が2週間単位でやってきます。でも、合宿中の2週間って、皆さん結構時間を持て余しがちですよね。そこで地域の事業者のもとで、様々な職業体験をしてもらうようなプログラムを作りたいと思っているんです」

 地域の企業で経営者のかばん持ちをしたり、スポットワークで小遣い稼ぎをしたり。そうした体験をした人たちの中から、1~2人でも三豊市への定住を決めたなら万々歳、というわけだ。

 アイデアと行動力に満ちた若い力が、地域に元気を創出する様子は、いかにも痛快。田島さんのケースには、ローカルで働く醍醐味が見て取れる。

【地方で働く】「乗り放題タクシー」で香川の地域住民を救え!若き起業家が自らに課した“独自のKPI”とは?「日本のウユニ塩湖」として人気の父母ヶ浜。家族が遊びに来たときの写真

※写真は全て田島楓さん提供