あえて相手に手柄を与えることで
良い流れをつくる

 交渉は、自分の要望と相手の要望、そしてそれぞれの譲歩をやり取りすることで成り立っています。

 もちろん、自分の要望を優先することが基本ですが、ときには相手に手柄を与えることも大切です。「損して得取れ」の精神とも言えます。

 このためには、事前の準備が欠かせません。交渉の場で突然「これは譲ってもいいかな」と思いつきで決めるのではなく、あらかじめ譲れるポイントを決めておきます。

『なぜかうまくいく交渉術』書影生駒正明『なぜかうまくいく交渉術』(秀和システム刊)

 例えば、初めての取引で相手に大幅な譲歩をすることがあります。このような譲歩をすることで、相手が社内で評価され、結果としてあなたとの信頼関係が深まります。

 長期的な視点で見ると、こうした譲歩は将来のパートナーシップを強化するための投資となるのです。

 また、こちらが相手に対して配慮することで、相手もそれに応じてくれることが期待できます。

 短期的な利益を追求するのではなく、長期的な信頼関係を築くことが重要です。そして、良好な関係を維持するためには、相手がどのようなことに価値を置いているかを理解した上で、日頃からコミュニケーションを取ることが大切です。

POINT
・「損して得取れ」の精神で、最初に相手に譲歩し、手柄を与える。
・短期的な利益を追求するのではなく、長期的な信頼関係を築くことが重要。