こうした意見調整をメインに多人数で話し合いを続けているときは、同時に他社も同じアイデアを出し合って会議をしていると思っていたほうがいいでしょう。
もしかしたら1年後の同時期に、100社が同じような商品を発売することになるかもしれないくらい、話している内容は一緒です。
社内における意見調整の末に他社と同じような商品を市場に送り出すというのは、1人の恋人を100人で奪い合っているようなものです。ライバルが多いということは、スイッチも多いということです。商品で言えば、これでは合わないから次の物、これもピンとこないからまた別の物……と、とっかえひっかえ、どんどん乗り換えられていってしまうわけです。
そうなると、継続率が悪いのでLTVは下がり、CPOはどんどん上がっていきます。つまり、採算が悪化していきます。その結果、大手企業や資金力のある企業しかもちこたえることができず、事業は失敗に終わります。社会全体で見ても、似たような流れで失敗していく企業は少なくありません。
ですから、意見調整をしないことをお勧めします。できるだけ周囲は見ないほうがいい、とも言えます。
しかし、これが既存事業の発展となると、また別の話にはなります。
事業を最適化していくときには、組織のあり方が非常に重要になりますが、新しいものを作ろうというときには意見調整が障害になるので、人数は少ないほうが望ましいです。
スピードと「ブレなさ」が成長を生む
もし、エレファントが大きな組織の会社で、僕はその一社員にすぎなかったとしたら、「アトピー性皮膚炎の子どものための石鹸を作りたい」という企画に対して、まずマーケティング部から「それ、売れるの?」「大丈夫?」という声が出てくるでしょう。
同僚に意見を聞いても「それ、大丈夫?」と言われたり、外部スタッフのデザイナーにブランディングを依頼すれば、「イメージがつかめないから、もっとしっかりした設計図がほしい」「明確なコンセプトをください」と言われることになったりします。
しかし、まったく新しいものというのは、容易にイメージが湧かないところに新しさがあるものです。