そして事故調査報告書は、同種事故の再発防止策として、ドックでの修理などが計画どおりに行われたか確認すること、高温配管の断熱材を定期的に点検し、かつ追加の断熱を行うことなどを指摘している。

 だが、話はここで終わらない。実は、掃海艇の火災、しかも機関室での火災が直近にも起こっていたのだ。

「すがしま」が火災事故を起こす9カ月前の2019年1月、「うくしま」「すがしま」の両艇と同じ型の掃海艇「ししじま」のエンジン排気管から400度以上の排ガスが漏れ出し、木製支柱が発火した。エンジン排気管の継ぎ手部分が緩んでいたことが原因だ。事故調査報告書は、再発防止策として、「(継ぎ手部分を)定期的に点検を実施し、必要に応じて増し締めを行うこと」と指摘していた。

 わずか1年の間に、同じ型の掃海艇で、エンジン排気管の継ぎ手が原因となる火災が2件起こっていた。これははっきり言って、異常事態だ。筆者は、「ししじま」の火災で指摘された継ぎ手部分の点検がすべての掃海艇で実施されていれば、「すがしま」の火災は起こらなかったのではないかと考える。

 さらに言えば、先日起こった「うくしま」の火災も防げたかもしれない。事故調査はこれからだが、「二度あることは三度ある」だったでは、絶対に済まされないのだ。

 海自は何をしているのか。2019年に起こった2件の掃海艇の火災事故だけを見ても、火に弱い木造船の構造的な欠陥を指摘されながら、無視してきたと非難されてもおかしくない。

 海自のトップ、海上幕僚長は今年7月、潜水艦修理契約の不正などにより交代したばかり。齋藤聡海上幕僚長は就任挨拶で、「新たな体制の下、これら問題に誠実に向き合い、全力で問題解決に当たってまいります」と述べている。

 海自には、行方不明者の捜索に全力を尽くすとともに、残る11隻の木造掃海艇に同じ悲劇が起こらぬよう、火災の原因を徹底的に追及する義務がある。誠実かつ全力で調査に臨んでもらいたい。