代表的な「基本7部署」は、防火、防水、霧中航行、溺者救助など。これら部署訓練は航海ごとに昼夜を問わず繰り返し行われる。例えば防火部署は、「火災。場所、機械室。防火部署、配置につけ」の号令がアラームとともに鳴り響き開始される。

 防火部署のメインプレイヤーは、ダメージコントロールのプロである応急班だ。彼らは防火服とOBA(酸素循環式呼吸装置)をわずか30秒で身につけ、海水ホースを手に火災現場に突入する。

「すがしま」の火災が船全体に広がらず、ボヤ程度ですんだのは、乗組員が日頃の防火部署訓練で身についた動きや流れを無意識に行ったからに他ならない。おそらく、「うくしま」も防火部署を発令し、乗組員は必死の消火活動に当たったはずだ。

相次ぐ掃海艇の火災事故
海自は何をしているのか

 しかし、「すがしま」の事故調査報告書をよく読むと、火災が起こるべくして起こったことがわかる。

 あらためて「すがしま」の火災を振り返ってみよう。事故調査報告書は事故の概要を、エンジン排気管の継ぎ目のシール材が劣化、そこから高熱の排ガスが漏れ出し、熱しつづけられた木製の甲板が低温発火した、としている。また、調査の結果、艇内からボロボロに劣化したシール材が多数見つかったという。

「ハッキリ言って異常事態」海自掃海艇でまた火災、沈没事故が「起こるべくして起きた」ワケ排ガスで熱せられ、炭化した「すがしま」の木製甲板(出典:国土交通省) 拡大画像表示

 この事故は掃海艇が木造船だったゆえに起こったものだ。その証左として、事故調査報告書には漏れ出した排気ガスで熱せられ炭化した船体の破片の写真が掲載してある。機雷掃海に必要な機能として、木造の船体が選ばれたわけだが、皮肉な結果になったというわけだ。