一方で、後に野田佳彦元首相とは(民主、自民、公明各党による「社会保障と税の一体改革」の)三党合意をまとめたわけですが、あのときは野田さんと直接的にも間接的にも相当話をした上で「彼は本気で信頼できるな」と感じたのです。あんまり簡単に仮定の話をしちゃいけないけれど、大連立構想も相手が野田さんだったら、実現していたかもしれませんね。

財源無視の空想政治家とは違う
野田佳彦には異質なものを感じた

《2011年9月、野田佳彦内閣が発足した。民主党政権で3人目の首相。野田氏は東日本大震災からの復旧・復興を最優先課題とする一方、財政健全化は待ったなしだとして、「社会保障と税の一体改革」の実現にも意欲を示した》

 ぐるっと回って、彼らもようやく落ち着くところに落ち着いてきたなと思いました。ちょっと前まで財務相をやっていた私からすると、民主党の財政に関する当初の考え方は、あまりに荒唐無稽だったのです。

 無駄を排除すれば財源は捻出できると主張し、マニフェストに子ども手当や農家の戸別所得補償制度などを掲げましたが、それだけの財源をひねり出すには増税するか、国債を大量に発行するか、みんなが悲鳴を上げるような歳出削減をするしかないところまで、あのときの日本の財政はきていました。