「天日干し経営」が有効な場面2
トラブルや不祥事に直面したとき

 有事のときにも有効だ。DAZNの配信初日に配信トラブル(編集部注/2017年のJリーグ開幕戦の中継がまるまる90分間映らなかった)が起きて、大混乱に陥った。こうした不測の事態にこそ、「天日干し」は有効だ。まさに「犬と記者は逃げると追って来る」し、「隠し事は雪だるまのように大きくなっていく」。

 Jリーグチェアマン在職中はさまざまな不祥事が起きた。クラブやリーグでのハラスメント、不正経理や横領事案、交通事故などなど。しかしすべてに開示を心がけてきた。違反行為そのものよりも、隠ぺいした組織にはきわめて重いペナルティを科した。「人に言えないことはやらない」という約束事があれば、ルールブックは厚くならずに済む。

 自然界の天日干しで雑菌やダニなどの増殖が防げるように、企業経営でも健全経営に天日干しは不可欠だ。リスクマネジメントには風通しが重要だ。心地よい風が社内に吹くようになっていくプロセスそのものが、文字通り企業風土の改善なのだ。

「天日干し経営」が有効な場面3
イノベーションを起こしたいとき

 変革に迫られたときに、足を使って現場を回るということは自らを開示していくプロセスにほかならない。