『鬼滅の刃』の相乗効果
近年の映画を含めたエンタテインメントの伸びは眼を見張るものがあります。2020年、ソニーの子会社であるアニプレックスが制作した映画『鬼滅の刃 無限列車編』は、日本の映画史上歴代1位の興行収益を記録しました。ミリオンヒットとなった主題歌の『紅蓮華』を歌うLiSAさんは、ソニー・ミュージックの所属です。相乗効果で莫大な収益を上げました。
今やこのコロンビア・ピクチャーズ買収から始まったエンタテインメント部門は、ソニーの収益を支える大きな柱に育ちました。日本企業では初めてだった「ハリウッド買収」によって、ソニーは他社とはまったく違う景色を見るようになったのです。
こんな昔の話を持ち出したのは、自慢のためではありません。僕がこの話を振り返ったのは、なぜこうした未来図を描けたのかをお話ししたいからです。
ゴア副大統領が「情報スーパーハイウェイ構想」を発表したとき、日本のメディアも大きく報じ、ビジネスマンの間でも話題になっていました。しかし、そこからどんな未来がやってくるのかを正確に予測し、会社を変革しようとした経営者はあまりいなかったのではないでしょうか。もしあの宣言をしっかり受け止めていたのなら、時価総額ランキングから日本企業が消えてしまうことはなかったでしょう。