社内転職のおかげで大変動に気づけた
出井伸之 著
税込880円
文系だった僕は、製造業のソニーという理系中心の会社に入り、海外法人の設立のため日本から放り出され、金融に目移りしつつ、オーディオ事業部、コンピュータ事業部と“社内転職”を繰り返して間口を広げ続けたからこそ、デジタル社会の到来を確信し、「隕石が落ちてくる」と強い危機感を覚えたのです。
もし外国部に居続けていたら、あるいは、仮に自分がエンジニアだったとして、製品開発の部署に居続けていたとしたら、ゴア副大統領の言葉に衝撃を受けることもなかったし、会社を変えようなんて思わなかったでしょう。越境して、“社内転職”を繰り返したことで、ゴア副大統領の宣言が意味するところを読み取ることができたのです。
僕の場合、社長というポジションで会社の改革を直接的に指揮することになったわけですが、一般の社員の方でも同じことは言えます。“社内転職”によって自分の引き出しを増やせば、必ず役に立つときが来ますし、自分のバリューを引き上げれば、仮に別の会社に転職することになったとしても、そこで生きていける武器を手に入れることができます。