――三つ目の軸、「愛かお金か」という話ですね。
これが実は最も現実的な判断基準になります。愛だけで生活が成り立つわけではありませんから。夫のほうが稼いでいて、恋人はそうでもないのかな。この文章からは分からないけど、お金の部分では夫が上としましょうか。でも、恋人のほうが愛があって、夫には愛はない。愛は恋人のほうが上なわけです。お金を取ったら夫、愛を取ったら彼になる。どちらを取るか、損得で考えればいい。
私はよくこういう図を描いてもらうんです(図)。横軸は「相手に愛情が残っている/いない」、縦軸は「離婚したほうが経済的に損/得」。
――最後に、相談者さんにどのようなアドバイスをされますか?
まず、「誰かに決めてもらう」という考えは捨てる必要があります。自分の人生ですから、自分で優先順位をつけて決断しないと。
この方の場合、選ぶ基準は「子どもを産む/産まない」「セックスしたい/したくない」「愛なのかお金なのか」として考えたらいいと思います。優先順位は違うなら自分で決めて。
まず、紙に、この三つの軸について書き出します。それぞれについて「現状維持」か「変化を選ぶ」か、具体的に検討していきます。例えば、子どもについて。本当に欲しいなら、現状維持では実現は難しい。夫婦の親密さについても、今の状態で満足しているのか、それとも変化を求めているのか。経済面では、現状の安定を手放すリスクを取れるのか。
どの選択にもリスクは伴います。大切なのは、自分が納得できる優先順位をつけることです。その上で、覚悟を持って決断する。子どもを産むならタイムリミットだし、もう10年以上恋人との関係が続いているということだし、バレたら大変なことになる。前倒しにしたほうがいい、人生そろそろ決め時なんじゃないかなと思いますよ。
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岡野あつこ
1978年 立命館大学卒(専攻:職業心理学)、2009年 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科卒(MBA取得)。結婚・出産後、専業主婦になるものの、夫の浮気により36歳で慰謝料ゼロで離婚。1991年に結婚・離婚・再婚相談事業を行う事業を開始する。34年間のカウンセリングにおいて、4万件近くの夫婦問題の相談に携わってきた。後進のカウンセラー育成にも力を入れ、岡野あつこのライフアップスクールを開講。2200人を超える卒業生を輩出している。