メディアが気持ちを新たにし
今から報道すべきこと

 そこで私なら、つまり「週刊文春流」なら、どんな報道をするか考えてみました。

 第一に、選挙結果に大きな影響を与えたという公益通報者のプライバシーに関するSNS情報です。

 確かに公益通報者となった以上、元県民局長は公人ですが、「流布されたプライバシー」は通報の内容と全く関係がないものです。しかも、本来なら押収されるべきでないPCの中から流出したものだとされています。もしこの情報が虚偽だったら「虚偽情報」の流布にあたるし、「虚偽」でなければ誰かが、つまり県庁や斎藤氏の周辺が「流出させてはならないPCの中身」を漏らしたことになり、これは公益通報者保護法の精神に反する行為です。

 急遽削除されたものもありますが、まだまだSNS上にはこれらの「風説」が残っています。その真偽と出所を丹念に調べて、「虚偽情報」なのか「真実であっても公益通報者保護法違反」の情報だったのか、そして誰が漏らしたのかを調査すべきでしょう。

 第二に、突然「自分が当選するため」ではなく、斎藤知事を応援するため立候補したというNHK党の立花孝志氏についてですが、これは自分の当選を目指さない立候補が公職選挙法に触れないのかを調べる必要があります。

 すでに、立憲民主党の小西ひろゆき参議院議員が総務省に見解を聞いています。総務省の見解は、「選挙運動は自分が当選するためにやるもので、他人を当選させるための立候補は公職選挙法違反になる」というのが骨子で、街宣車や拡声器などを他の候補のために使用することも犯罪となり、双方が公民権停止になると報告しています。

 もちろん、対立する党派の議員の話ですから、メディアは総務省にこれが事実かどうか確認した上で、事実であれば、今度は「捜査権は警察にある」という総務省の見解を基に、県警に対して捜査をするのか、法律違反と考えているのか、記者会見で質問をすべきでしょう。そして、県警本部長の腰が定まっていなければ、警察庁にも同様の質問をするべきです。

 警察庁は、都知事選で騒動を起こした「つばさの党」を公職選挙法違反で逮捕することについて、警視庁にオーケーを出していますから、公職選挙法を厳正に運用することを大事にしているはずです。