立花氏の行為は斎藤氏への応援と共に他候補への選挙妨害にあたる可能性がありますし、前述のように、流言飛語の流布にも関与した疑いがあり、公益通報者のプライバシーを不法に入手した疑いもありますが、警察ならその入手経路も追いかけることができます。流出源が斎藤氏あるいは斎藤氏の仲間であれば、斎藤氏も共犯となります。

「百条委員会をやめるべき」と議論する
人たちの感性はどうなっているのか?

 第三に、選挙結果が民意だったとしても、突然「百条委員会をやめるべきだ」という議論をする議員やコメンテーターが出てきたことに対して、それはなぜなのか取材をした上で、警告を発するべきです。

 百条委員会は「おねだり」や「パワハラ」も問題にしていましたが、一番大事な問題は公益通報者に対する態度が適法であったかどうかです。県民局長の告発文を読んだとき、知事の非を具体的に指摘する告発文書ならば、県当局者が最初にやるべきことは、それが正当な内部告発や公益通報である可能性を視野に入れ、当事者である知事から独立した第三者にその可能性を検討してもらうことでした。ところが、知事を中心に第三者ではなく仲間内で「怪文書扱い」とし、「人事管理上の事案」とみなして文書作成者の懲戒処分へと動いてしまいました。

 しかも、まずは公益通報者として保護しておくべき人物に対して、第三者ではなく当事者である副知事が、直接事情聴取して証拠品でもあるPCを告発された当事者たちの側で保管し、調査しました。その上、通報したこと自体を問題視して、公務に使うPCで私的資料を残していたなどという理由で、彼に処分を下してしまったのです。

 どの点をとっても、570万人の人口を抱える県庁のやることとは思えません。メディアは百条委員会の議員たちにも取材したでしょうから、そのデータを元に所管する消費者庁の見解を聞き、この点に関して斎藤知事の行動が正しかったかどうか判断すべきです。そして、各メディアが斎藤知事の行動について、百条委員会でも第三者委員会でもなく、自分たちの見解を示すべきではないでしょうか。