「貯金で安心」の時代の終わり

 たとえば、日本のインフレ率を示すコアCPI(生鮮食品を除いた消費者物価指数)の前年同月比の推移(下図)を眺めると、80年代はおおむね0~+2%台で推移するなど、現在とほぼ同じ水準だったことがわかります(※2024年8月コアCPIの前年同月比は+2.8%)。

投資の教室 人生を変えるマネーマシンのつくり方

 その一方で、政策金利は80年代がおおむね3~5%台、現在は0.25%と、現在の政策金利がインフレ率に対して低すぎることがわかります。

 これは日銀の金融政策が緩和的過ぎることを意味しますから、円安に伴うインフレの長期化が予想されます。

 そもそもインフレとは、貨幣の価値が下がることによって物価が上がる現象のことです。

 この時、株や不動産などの資産価格も上昇しますから、円を円のまま保有するよりも、円を株や不動産などの資産に換えた方が理に適っていると言えるのです。

 また、日本は石油や石炭、天然ガスなど資源エネルギーのおよそ9割を輸入に頼っているため、円安が続くと家計が圧迫されるだけでなく、将来の生活コストまで押し上げられる可能性があります。

 そのため、貯金はいざという時の備えや子どもの教育資金などのために、ある程度は必要ですが、老後生活のためにとせっせと貯金をしても、生活コストの上昇によって満足のいく資産形成はできないかもしれないのです。

 つまり、「真面目に貯金だけしていれば安心」という時代はすでに終わりを迎えている可能性がありますから、日本人はかつての常識や価値観をアップデートしなければなりません。

(本稿は、『投資の教室 人生を変えるマネーマシンのつくり方』を抜粋、再構成したものです)

バフェット太郎(ばふぇっと・たろう)
投資に役立つ世界の重要な経済ニュースを厳選し、独自の視点からわかりやすく解説する、登録者数50万人のYouTubeチャンネル「バフェット太郎の投資チャンネル」管理人。冷徹な市場分析と鋭い舌鋒で、次々と予想を的中させる投資系インフルエンサー。Xフォロワー35万人。noteフォロワー1.4万人。
個人投資家としては、20代から投資を始め、数百冊の投資本をむさぼり読み、10年間さまざまな試行錯誤を積み重ね、米国株投資にたどり着く。ブロガー・YouTuber活動と並行して堅実な投資を続け、それから数年で数億円の金融資産を築く。
著書に『投資の教室 人生を変えるマネーマシンのつくり方』(ダイヤモンド社)、累計20万部のロングセラー『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』(ぱる出版)がある。
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