ストレートな若者批判を避けて踏んでしまう地雷
「最近の若い人たちは気の毒だよね」
⇒「働き方」や「上司と部下の関係」が変わったという話の中で
いくら昭和人間でも、若者の前で「近ごろの若いモンはダメだ」なんてことを言う人は、ほとんどいません(昭和人間同士ではたまに言っていますが)。ストレートな若者批判の代わりに、つい口にしてしまうのがこのセリフ。言う側としては、若者を理解していることや、若者に寄り添う姿勢を見せているつもりかもしれません。
しかし、要するに言いたいのは「自分たちはしっかり鍛えられて立派に一人前になったけど、甘い環境にいる今の若いモンはダメだ」ということ。言われた若者の側も、そういう“真意”は十分に察知しています。結果的に「ああ、この人は何もわかっていないし、時代の変化を受け止める気持ちもないんだな」という印象を与えるでしょう。
「男のくせにノンアルかよ。情けないなあ」
⇒会社の飲み会で最初からノンアル飲料を注文した若者に
飲み会は「危険フレーズ」の宝庫です。こちらも「俺の酒が飲めないのか」というアルハラ発言をする人は、ほぼ絶滅しました。しかし、軽く冷やかすつもりで、何なら親近感の表われとして、こういったことを言ってしまう昭和人間は少なからずいます。若い世代と共通の話題がなくて苦し紛れに……という背景もあるかもしれません。
女性に対しても、ホメたつもりが大ヒンシュクというケースは多々あります。ビールを注いでもらって「若い子が注いでくれたビールはうまいなあ」と言ったり、食べものを取り分けてくれた女性に「気が利くね。いいお嫁さんになれるよ」と言ったり……。こちらとしては「あえてオヤジ臭さを強調したギャグ」のつもりだとしても、その意図は通じません。
「旦那さんのご飯とか作らなくて大丈夫なの?」
⇒残業している既婚の女性の部下に
これは、男性だけでなく女性の昭和人間も言いがち。部下の女性を思いやっているようでいて、「食事の用意をするのは女性の役割」と迷いなく決めつけている頭の古さがにじみ出てしまいます。さらに、よその家の旦那さんを「妻がいないと自分でご飯も食べられないダメな男」と言っているわけで、何重にも失礼と言えるでしょう。
似たパターンとして、小さな子どもがいる女性が飲み会に出席していると、さも心配そうに「お子さんが待ってるんじゃないの。早く帰ったほうがいいよ」と言ってくるケースも。当人は、大丈夫な手は打っています。しかも、そういうことを言ってくる人は「自分は部下に細かく気を配れる人間だ」みたいな顔をしがち。そこがまた腹が立ちます。