職場には「悩む人」と「悩まない人」がいる。一体、何が違うのだろう?
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の自己啓発書『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。日々読者から寄せられるいろいろな悩みをぶつけてみた。本稿では、極めて悩みやすい年末に役立つ「悩まない人の思考法」をお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。

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どんなトラブルがあったのか?

Q.職場に「悩み続ける人」がいて困っています。私からすれば「どうでもいいこと」をこんこんと悩み続け、目の前の仕事をおろそかにするので、まわりからの評価も上がりません。こういう人にどういうマネジメントをしていったらいいのでしょうか? 木下さんの体験談も交えて教えてください。

【悩まない人の回答】
 
私はここ20年くらい悩んでいません。
 おかげさまで当社はゼロから起業し、この20年間で東証プライム上場企業になりました。その裏側には人から見たら「ハードシングス」と思われることもたくさんありました。いくつか事例を挙げてみましょう。

 ■創業して2年間給料なし。ようやく軌道に乗ったというところで全財産を奪われる詐欺に遭う

 ■いち早くECサイトで「北海道特産品」ビジネスをスタートさせ、テレビでも紹介されたが、年末に物流がパンク。ビジネス自体が行き詰まる

 ■上場する際、証券会社の不祥事のため途中で証券会社が変更。さらに監査法人が突然解散する事態に

 ■拙著『チームX』でも触れたが、絶頂から奈落の底へ売上がダウン。窮地に追い込まれる

 その他、いろいろ悩みやすい人ならとことん悩んでしまう出来事には事欠かないのですが、私は悩みませんでした。

 それはなぜかというと、すべて「想定内」だったからです。

 実は、詐欺に遭って全財産をなくしたときも、念には念を入れて詐欺を疑いながらも、相手が本当の詐欺のプロ集団だったために、それが見抜けなかったんです。

 たしかに、ショックは受けました。
 その瞬間、全財産を奪われたわけですから。

 でも、それに引きづられて仕事ができなくなることは一切なく、翌日から普通に仕事をしていました。
 きっとまわりの人は、私が詐欺に遭ったことなど、全くわからなかったでしょう(事実、後からこの事件を知った知人はそう言っていました)。

 上場時のトラブルについても、日本だけでなく世界中の上場時のトラブルに関して事前に勉強していたので、何が起きても「想定内」でした。

 ただ、さすがに『チームX』で触れた、「売上6分の1事件」はちょっとだけ悩んだかもしれません。でも、すぐに社内の若手リーダーたちと手を打って、少しずつ改善させました。今となってはいい思い出です。

「強靭なメンタル」や「ポジティブ思考」に頼らない

 ですから、私の中では上記のトラブルも「すんなりいった」という感覚でいます。

 こういうことを言うと、
「それは木下さんが強靭なメンタルの持ち主だから」とか、
「強力なポジティブ思考の持ち主だからでしょう」
 と言われるのですが、私はそんなものは一切持ち合わせていない凡人経営者です。

 その分、悩まない人の「思考アルゴリズム」を持っていて、どんなトラブルも一瞬で「解消」できるという自信があるだけです。

 問題は「解決」してはいけません。
 思考アルゴリズムによって「解消」すべきです。

 精神論や強烈なポジティブシンキングを押しつけてくる上司は警戒してください。

 本書で紹介した30の思考アルゴリズムさえあれば、この先、何があっても大丈夫。そのときにやるべきことは同じ。

問題を問題でなくする」か「問題を『具体的な課題』に昇華させる」かのどちらか。世の中はシンプル。シンプルに考えられる人ほどどんどん成長していきますよ。

(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)