「不幸にならない」自宅の買い方、不動産市場で深刻化する世代間格差のツケ家選びで起こりうるリスクは、実は世代によって変わってくる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

世代別に見る
将来、確実に起こるリスク

 人は生まれた「世代」によって、人生を通じ影響を受ける。たとえば、今の高齢者は戦後生まれで高度経済成長期に働き、年金は比較的潤沢にもらえる。しかし、今の若い世代は古市憲寿氏の『絶望の国の幸福な若者たち』に見られるように、楽しむネタには事欠かないが、可処分所得は低く、経済的には不利な状況にある。

 そのため、自分がどの世代であるかを把握し、今後死ぬまでの間に「起こるかもしれないリスク」と「起こりそうで起こらない話」を明確に区分しておいた方が適確な資産形成ができると考える。不動産を中心に検討しておこう。

 第二次世界大戦が終結して、先進国では平和が訪れた。戦後まもなく、大量の子どもが産まれた。これが世界的なベビーブームであり、日本では「団塊の世代」と呼ばれている。

 1950年の日本の平均寿命は、男性が59.57歳、女性が62.97歳だった。現在の定年の歳には多くの方が亡くなるということは、現役世代と子どもしかいない人口構成のようなものだ。税金も社会保険料も少ない時代の手取り割合は今よりも多く、大半が現役世代(働き手)の世界では、高い経済成長を持続することができる。日本のような高度経済成長は、経済政策を的確に行えばどこの国でも起きることはよく知られている。これを「人口ボーナス」と言う。

 具体的な年齢としては、15歳から64歳までの生産年齢人口が現役世代を指し、それ以外の14歳以下の人口と65歳以上の人口を合算した従属人口の割合を比較したとき、働き手である現役世代が増加することで経済が後押しされる状態を指す。

 安価で豊富な労働力があり、税金や社会保障費の負担が少なく、国家予算を経済政策に振り向けやすい。一生懸命働いたから経済成長したのではなく、現役世代の負担が少なく消費に回るお金が多いから、経済の好循環によって高い成長が生まれやすかったのだ。

 この人口ボーナスの反対の現象を「人口オーナス」と呼ぶ。現役世代の比率が低く、高齢者の比率が非常に高い人口構造、少子高齢化の状態を指す。今の日本はこの状態なので、経済成長はしにくい。