今や多くの消費者にとって、初期の情報探索はネットメディアだ。情報探索に関して営業担当者への依存が極めて低い今、顧客視点の弱さは企業の存続にかかわる。

買い手にとって大事な「購入後」
契約締結で終わりではない

2:購入後の議論が乏しい

 営業プロセス管理では、販売契約の締結が一つの出口となる。その後は必要に応じて、顧客のフォローアップをしていく。

 しかし、よく考えてみてほしい。これこそまさしく売り手の理論だ。売り手からすれば、契約締結までが重要だが、買い手からしたら大事なのは購入後ではないだろうか。

 ものがある程度行き渡っている時代、もの自体の価値は低下傾向にある。ものではなくて、そこから生み出される体験・経験が大事になる。

 売り手は、顧客の体験を中心に考えることが必要となる。「ものを購入した後、顧客は思い描いたような体験、経験をしているのだろうか?」と考え、顧客がより良い体験をしていくための働きかけをする必要がある。

 この必要性に、営業プロセス管理では十分に対応できない。ものを売るということを目的とした管理手法だからだ。

 営業プロセス管理は、どうしても購買前と購買後を分けて、前者を中心に議論する。そのため「顧客にどのような体験をしてほしいのか」「実際に望んだ体験を実現できているのか?」といった購買後の議論が弱くなり、顧客の体験にまで意識が届きにくい。

営業部門は組織全体との
連携を強化すべき

3:営業担当者の知見が他部門に共有されない

 営業プロセスでは、売るまでが営業担当者の仕事とされている。そのため営業担当と他部門との連携は薄いものになりがちだ。

 例えば製造業の営業組織の場合、ものを売る人と、サービスする人は違う組織に属し、ものを売る人は売るまでが仕事、販売した後はサービス部門が担当、となる。

 だが、顧客と接点を持っている営業担当者が売ることだけに従事しているのは、会社全体で見ると大変もったいないことだ。

 営業部門が商品企画部門、開発部門、サービス部門などと日常的に会話することは少ないだろう。新しい商品やサービスの企画をする際、企画部門や開発部門が、営業担当者と共に顧客回りをすることは勿論あるが、日常的に行われているわけではない。営業担当は営業プロセスに沿って行動し、その結果、社内の他部門との連携が弱くなる。