続いて立地面に着目しましょう。日本では東京(実際は千葉県)と大阪、アメリカではロサンゼルス周辺とフロリダ州オーランド周辺に集中しています。
フロリダ州オーランドは、冬でも温暖な、テーマパーク産業の集積地です。ウォルト・ディズニーは、オーランドの地価が上がる前に広大な土地(山手線内の約1.5倍の面積)を買い占めました。今では4つのテーマパーク、2つのウォーターパーク、直営ホテル、ショッピングセンター、飲食店街、ゴルフ場などを含む巨大リゾートに、世界中から観光客が押し寄せます。その近くに1990年、ユニバーサル・スタジオ・フロリダがオープンし、拡張を続けているのです。
ひるがえって中国では、長隆海洋王国は香港の近く、「珠江デルタ」と呼ばれるエリアです。香港、上海、北京には大規模テーマパークが集中しています。また、韓国のエバーランドはソウル郊外にあり、サムスン(三星)グループが運営するテーマパークです。
参入障壁が高いテーマパーク産業
22年は新型コロナウィルス関連の影響がまだ残っていました。が、23年はほぼ収束し、ほとんどのテーマパークで入場者数が増えています。「リベンジ消費」「リベンジ観光」で積極的なレジャー消費が見られました。この傾向は24年、25年も続くでしょう。
コロナ禍で休業している期間、資金力のあるテーマパークは追加投資をして集客の核となるアトラクションなどを計画しました。その効果が25年以降も花開いていくでしょう。
大規模なテーマパークは「富の象徴」とも言えます。大規模パークが成立するためには、(1)運営会社の資本力(2)コンテンツ力(3)主要国の都市周辺で中流階級以上の経済力がある人口の集積(4)その都市の魅力で観光客を国内外から誘致できる、といった複数の要因が欠かせません。そのため、巨大資本を持たない事業者は容易に参入できません。
USJのコンテンツがアメリカに逆輸入!
このランキングからも分かるように、ユニバーサルのパークで最も入場者数が多いのは日本のUSJです。USJは、それまで同社の映画コンテンツのみを活用することがスタンダードだったテーマパーク業界に、イノベーションを起しました。
USJは開業当初から東京ディズニーリゾートと比べられ、苦しい戦いを強いられる中、日本のハローキティなどのコンテンツを導入して人気を博しました。その後、「クール・ジャパン」をコンテンツに加えたことで成功を収め、アメリカやシンガポールのユニバーサル・スタジオに逆輸入するようになったほどです。
一例として今後、「ワンピース」や「呪術廻戦」、「スーパーマリオブラザーズ」がアメリカに上陸する予定です。これら日本のIPの知名度が上がることで、IPホルダーは二次利益を得られます。まさに、日本の「コンテンツ立国」を牽引することになるでしょう。
世界のテーマパーク年間入場者数ランキングで、上海ディズニーランド、長隆海洋王国、東京ディズニーシーの2023年と2022年の年間入場者数を逆に記載していたため、表を差し替えました。なお、順位に変更はありません。
(2024年12月4日 10:45 ダイヤモンド編集部)