職場には「成果を出せない人」と「成果を出している人」がいる。
この差は、一体、何だろう? どうしたら前者は後者に変わるのか?
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の自己啓発書『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。本稿では新年のスタートダッシュに役立つ「悩まない人の思考法」をお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。
正誤を確率論で考えるには?
私は、物事に「絶対に正しい」「絶対に間違っている」はないと考えています。
ですが、多くの人は「絶対に自分のほうが正しい」と思っています。
私にはこの感情はありません。
もし、他の人と意見が違うとき、私はこう考えます。
◎その案件の「目的」は何だろう?
◎その目的に対し、自分と相手とどちらが正しい可能性が高いか?
(→実績で考える)
社内においては、私と社員の意見が違うときは私の意見を優先させることが多いです。
こう言うと、「社長は自分の意見が一番正しいと思っている」と思うかもしれませんが、違います。
私のほうがたくさんの実績を出しているので、確率論的に私のほうが正しい可能性が高いからです。
毎回、あらゆる確率を踏まえながら、案件ごとにフラットに判断しています。
では、他の人と同じ状況になったときにどうしているのでしょう?
相手のほうが実績がある場合は、相手が正しい確率が高いので、基本的には従う方向に行きますが、このとき、自分と相手との考えが違う場合は、
「なぜ、相手がそのような考えを持っているのか」
を理解しようとします。
その理由は2つあります。
1. 相手に実績はあるが、今回の事情を理解していない
2. 私程度では理解できていない高い次元かもしれない
まず、1でないか確認します。ただ、説得しようとはしません。
そして、2であった場合、喜びます。まだ、私には理解できない高い次元があると思い、懸命に学ぼうとします。
多くの人を見ていると、自分の考えを一方的に押し通すか、状況を理解せずに「社長が言っているから」と従うか、「社長はわかっていない」と不満顔で終わらせているといった人ばかり。この姿勢のままでは、どんなすごい成功者のそばにいても学べないでしょう。すごくもったいないです。
「自分より成果を出していて、自分と考えが違う人」から学ぶ方法
私の場合、自分より成果を出していて、自分と考えが違う人が一番の好物です。
自分より成果を出していて自分と考えが同じだと、どうして成果が違うかわからず、何を学んでいいかわかりません。
一方、自分より成果を出していて、自分と考えが違う人だと、自分と考えが違うので、その考えが理解できるまで「なんで、なんで?」と聞き続けられるのです。
これは、自分の正しさをわかってもらおうとする質問ではなく、相手の考えを理解する質問です。
なかには、私の部下で私と考えが違う人で私を説得しようとする人がいますが、説得しても意味がありません(これは評価の観点では自分が間違ってないことを私に理解してもらうことは必要かもしれませんが、成長という観点では意味がありません)。
私があなたの正しさを理解したところで、あなたが億万長者になれるわけではありません。あなたが私の考えを理解して、それを自分のものにできたら億万長者になれるのです。
よく自分は「できない」と思っているのに、社長が「できる」と言ってきて、必死で私に「できない」ことを理解させようとする人がいます。
私がどれだけ「できない」ことを理解しても状況は変わりません。
あなたが「できる」と言うことを理解することで、「できない」と思っていたことが「できる」ようになるのです。
私の場合、できる根拠として「他社でできている」事例を挙げることが多いのですが、ほとんどの人は成功事例を確認しようとすらしません。
一部の人は他社の成功事例を確認して、「できる」となってできるようになっていきますが、そういう人が会社の幹部になります。幹部になった人で私を説得しようとする人はいません。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
今回の話の教訓は、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ということです。
ここで言う「歴史」とは「他人の経験」と思ってください。
愚者は自分の経験からしか学べません。
私はこれを知っているので、自分の過ちを避けるために最初から他人の経験から学ぶのが好きです。
億万長者には億万長者になれる特別な出来事があって億万長者になっているわけではありません。
毎日、普通の人と同じ出来事があり、その出来事に対する選択肢の積み重ねが大きな差になっているのです。
私もみなさんもずっと同じオフィスにいて、同じようにPCの画面を見ています。
「何をクリックし、マウスをどう動かして、キーボードのどのボタンを押して、Zoomで誰にどんな発言をしているか」
の違いしかない。
たったそれだけの違いが積み重なって大きな差となってきます。
この「何をクリックし、マウスをどう動かして、キーボードのどのボタンを押して、Zoomで誰にどんな発言をしているか」の判断基準を学べば、多くの人が「悩まない人」に変わり、「仕事ができるお金持ち」になれるはずです。ぜひ試してみてください。
(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)