大阪~鳥取間の所要時間を
従来の直通列車から1時間半短縮
また、智頭線は全線単線であり、普通列車との行き違いが必要になるが、特急列車が最高速度で駅を通過できるよう通過線が直線の「一線スルー」構造とし、ポイントも高速走行が可能な高いグレードのものを採用。智頭急行線内の表定速度(駅停車を含めた平均速度)は、国内トップクラスの時速91キロ(最速列車)に達した。
こうして1994年12月3日に智頭急行智頭線が開業し、「スーパーはくと」の運転が開始。大阪~鳥取間の所要時間は1時間半も短縮した。開業直後に阪神・淡路大震災が発生し、大阪~姫路間の運転ができなくなるアクシデントもあったが、復旧後は想定を上回る大成功を収めた。
当初、「スーパーはくと」3往復、旧型車両を用いた「はくと」3往復でスタートしたが、好評につき車両を増備。1997年3月に「はくと」2往復が「スーパー」化、11月に全列車(5.5往復)が「スーパーはくと」となった。
また同改正で智頭線経由の「いなば」が3往復設定され、2003年に新型車両導入にあわせて「スーパーいなば」に改称した。現在は「スーパーはくと」は臨時列車を含め8往復、「スーパーいなば」は6往復の体制となっている。
何もなければ立ち消えていたローカル線が、地元主体で、新たな役割を見出したことで見事に大きな花を咲かせた。国鉄として開業できたとしても、このような華麗な転身は不可能だっただろう。
もちろん人口減少が本格化する以前のこと、バブル経済のもとで進んだ計画であり、現代とは単純比較できないが、ローカル線の在り方が問われる今、智頭急行の成功譚は大きな教訓を遺しているように思える。