【光る君へ】0歳で即位の天皇も?平安時代に幼帝が珍しくなかったワケIllustration:PIXTA

『光る君へ』の時代において
幼い天皇は珍しくなかった

『光る君へ』では、一条天皇を演じた塩野瑛久さんの高貴で端正な顔と、視線や表情だけで感情の移ろいを繊細に表現する演技が、『源氏物語』の雅の世界をみごとに表現していた。

 それとともに、幼い親王たちのかわいらしさも話題になった。

 わずか9歳の後一条天皇が、生母・彰子皇太后に抱かれて高御座(たかみくら)に上って即位した。また、親裁を行う際、横に座って耳打ちする祖父・道長の言葉をオウム返しするだけなのも、異様な景色だった。

 しかし、この時代、幼い天皇は珍しくなく、父である一条天皇も7歳で即位している。最年少は平安時代末期の六条天皇で、2歳(数え年なので満年齢では0歳)で即位して5歳で退位している。自分が天皇だったことすら覚えていなかっただろう。

 最近は女性天皇の可能性も議論されているが、日本の皇室2000年の歴史のなかで、皇位継承について、変わらなかったものと時代によって変化したものは何か、また、その変化にはどのような動機や背景があったのか、解説したい。

30歳以上が即位の条件となり
若ければ兄弟や女性がつないだ

『日本書紀』に記述されている歴代天皇に関して、399年に107歳で崩御したとされる仁徳天皇までは、正しい生没年ではない。だが、それ以降についての記述は、中国の史書や考古学上の手がかりと齟齬(そご)はなく、嘘だと決めつける理由はない。

 また、仁徳天皇以前の天皇の生没年や即位年も、通常の寿命や『日本書紀』に書かれている家族関係から、ある程度は推測できる。