【5位】
「メンタルがプレーに影響するとは思ってない」
――大谷翔平さん(プロ野球選手)
「50-50」(50本塁打50盗塁)や、得点・安打・本塁打・打点・四球・盗塁の全項目でメジャー全体のトップ5入りするなど、大リーグ史上初の記録や、日本人初の偉業を重ねた大谷選手。驚異的な数字だけでなく、ワールドシリーズ制覇も経験し、もはや「大暴れ」といっても差し支えない活躍ぶりでした。
さらに今年は、結婚や水原元通訳の事件など、グラウンドの外側にも話題が及びました。この言葉は、水原氏のスキャンダルがプレーに与える影響について報道陣から問われた大谷選手が、とっさに切り返したものです。
彼はこの時、「しっかりとした技術さえあれば、どんなメンタルでも打てると思っている」とも語り、「メンタルはプレーに大きく影響を及ぼす」という通説をくつがえすような力強さに圧倒された人が、少なくありませんでした。
審査では、野球に限らず、前に進もうとするすべての人の背中を押している点が評価されました。審査員は、次のようにコメントしています。
佐々木圭一さん(『伝え方が9割』著者)
「今まで僕は、完璧の状態とは『全部準備はできて、あとはもうメンタル次第』ということだと思ってたのですが、それを超えた場所があるんだなと。メンタルさえも、もはや影響しない、次のステージがあると知れたことは、今年の中でちょっと鳥肌が立つような、そんな名言だなと思いました。ドラゴンボールで言うならば、神様の先にまだ界王様がいたみたいな、次のステージがあるんだと感じさせる言葉でした」
【6位】
「違和感を表明しないのがいちばん違和感」
――尾崎世界観さん(ミュージシャン・小説家)
ミュージシャンとして活動する尾崎世界観さん。
「推される」行為を大変ありがたく思う一方で、「すごくこだわって微細な表現をしているつもりでも、全てが過剰に届いてしまう」とデビュー当時から感じていたそう。
たとえば、水を飲んだりするだけで歓声が上がると、表現の幅がなくなってしまう。人からみられるとき、「自分がこうでありたい」という理想像からズレていくことによって、小さな違和感が生じることがあると、彼は語っています。
違和感をそのままにせず、声を出す勇気を持つことで、社会は良い方向へ向かっていくという考えがにじみます。
審査員は、次のようにコメントしています。
田中里奈さん(プロデューサー/モデル)
「日本ってやっぱり同調圧力があるじゃないですか。そこを今一度この言葉で『ああ、そうだな』と思ってほしいなという願望も含めて選びました。周りを見ると、そもそも自分の違和感すら違和感としてキャッチできていない人もいるから、自分にも興味を持ってほしいし、違和感を覚えたら、やっぱりちゃんと言ってくことで世の中も変わっていくのではないでしょうか」
【7位】
「私ひとりだけでなく女性全員で行き着いたのだ」
――シェインバウムさん(メキシコ大統領)
2024年、メキシコでは史上初となる女性大統領が誕生しました。
「マチスモ」と呼ばれる男性優位の考え方が根強く、女性差別や暴力がなお残る社会で、歴史の流れを変える結果について、彼女が語った言葉です。