企業の効率化とか合理化からすると、新卒採用は正反対の性質を持っているように思えます。短期的には、即戦力ではないし、育成コストもかかる。じゃあ中長期的に見て、その人が能力を発揮してくれるかというと、それもわからない。途中で辞めてしまうこともあるでしょう。
つまり、効率という観点から見ると、新卒なんて採るべきではないわけです。効率を図るなら、中途「即戦力」を採用しようよ、という話です。
でも、そういう採用から「よくわからない何か」が起きることは、ほとんどないと思います。基本的には、必要としている能力を調達してくるわけなので、予想の範囲を超えません。
でも、新卒は「よくわからない」わけです。僕はその「よくわからない」ところにも、会社としては張っておかないといけないと思っています。これが新卒をしばらく継続採用しようと決めたいちばん大きな理由です。
新卒が入ることにより
組織の学習力が高まる
会社をよくしたり、事業を発展させたり、飛躍させたり、そういうことはすべて、人の力によるものです。計画とか戦略も大事ですが、最後はすべて人です。人の可能性には、いろいろな側面で会社としても賭けておきたいのです。
あと、「よくわからない人」が加わることで、元々いる人たちが刺激や影響を受け、その結果、組織が変化する、ということも想定に入れています。実際、こういうケースは大いにありますよね。
たとえば、新卒者への教育。人は自分以外の誰かにものを教えるときに、最も学習効果が高まるといわれています。
本を読んだりするときも、人にその内容を伝えることを考えながら読むと理解力が深まるわけですが、新卒の加入で、否応なく、いろいろな部門で「教える」場面が増え、それが組織の学習力を高めることにもつながるのかなと思ったり。現に、新卒が入るようになってから、徐々にその辺の意識が高まってきているように感じています。