ルールをつくることは簡単だけど、何かルールを設けると、ルールで判断する癖がつく。そうすると例外が出てきたときに、自主的に判断できず、また新しいルールが必要になる。
たとえば、1カ月に1人、持ち回りで洗車する人を決めておき、順番に回ってくるようにしたとします。
すると、このルールをつくった時点で、自主性は損なわれてしまうでしょう。やりたくないけど、ルールで決まっているので仕方ないと考えるようになるのが、人間の性。
しかも、このような当番制になると、誰の担当のときは全然キレイになっていないとか、掃除ならここまですべきだとか、そういうことで揉めるかもしれない。そこでまた新しいルールをつくらないといけなくなる。
木村祥一郎 著
そもそも車の汚れ方は、使用場所や時期や頻度によって変わるので、夏場に田舎での走行が多かったら、虫の死骸などがたくさんついていて、洗車が大変とか、あるいは春は黄砂がすごいので下処理が大変とか、そういうしょーもないことで揉めるかもしれない。
ルールはうまくつくれば機能します。でもそこに頭を使うなら、僕はある程度の無駄は許容しつつ、むしろ、自主性を評価したいです。
2人の営業が自主的に洗車する、そういう気持ちや行動がスタッフから出てくることが会社の強みの1つなんじゃないかと。この自主性は、別のところできっと会社の利益に貢献しているはずだと。そんなふうに思いたいのです。
ちなみに、この場面に遭遇したKは「2人とも自主的に洗車するなんて、なんてよい会社だ」と思ったそうです。
1924年創業。高級品だった石鹸が普及し始めた大正時代、初代・木村熊治郎が「木村石鹸製造所」を創業。釜の中で成分を反応させてつくる釜焚き製法により、普段使いの質のよい石鹸を研究開発。以来、家庭用の石鹸、洗浄剤、化粧品、事業用洗剤・洗浄剤の開発、製造、販売をつづけ、2024年4月に操業100周年を迎えた。「Forbes JAPAN」の日本が誇る小さな大企業を選ぶ「SMALL GIANTS AWARD 2019」にて「ローカルヒーロー賞」受賞。