経済の先行きが不透明な中で総合商社は総じて、2025年3月期に引き続き高い利益水準を見込んでいる。特集『総予測2025』の本稿では、3大商社である三井物産、三菱商事、伊藤忠商事の大型投資先と3社の序列について、これからの変化を追った。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
利益水準を保てるのか?
各社が最大規模の成長投資
資源価格高騰の追い風があった20年代前半からの反動もあり、足元の利益水準を持続可能なものにできるかは各社の成長投資が鍵になる。
25年3月期の連結純利益予想は、七大商社(三井物産、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、住友商事、豊田通商、双日)で計4兆2200億円に上る。前期比で1650億円増える見込みだ。
各社は史上最高益をマークして以降、最大規模の成長投資を打ち出している。それらの事業が25年以降に収益貢献するとすれば、商社の未来は決して暗くはない。
就職生からの人気は続き、優秀な人材の流入は途絶えることがない。人材不足のリスクは一部のIT関連事業では出ているものの、この分野に関しては東南アジアの優秀な人材を獲得する動きが進んでいる。子会社や駐在員のネットワークを生かし、国内外を問わない現場に適材適所の人材を呼び込める状況にある。そして、潤沢な資金による大型の投資がなおも続くだろう。
総合商社各社は、市況に振り回されないバランス型のポートフォリオを構築しつつある。その中で、3大商社の大型投資先と各社の序列はどう変わるのか。次ページでは、三菱商事が「資源だけじゃない」と強調する理由、そして伊藤忠が純利益1位に返り咲く可能性が高いと言える根拠を明らかにする。