「なぜあいつのほうが出世?」社内評価に納得できない時、夏目漱石の言葉に心がスッとした写真はイメージです Photo:PIXTA 

誰にでもある失敗の瞬間や悩みごと。鬱屈した気持ちの解消におすすめなのが古今東西の「名言」だ。過去に同じように悩んだり考えた人々の名言に耳を傾けると、驚くほど前向きになれることがある。本稿では、12月5日発売の『人生が好転する95の言葉 大人のための“名言ケア”』(創元社)から、ピンチな状態にあるあなたを救う珠玉の名言を3つ厳選して複数回に分けてご紹介する。第三弾は「自意識」という厄介な怪物を手なずける方法を扱う。(コラムニスト 石原壮一郎)

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「なぜあいつが出世?」
評価のギャップに悩むあなたへ

 周囲からの評価と自己評価とは、往々にしてギャップが生じがち。自己評価が低すぎるのも厄介ですが、逆の場合は周囲や上司や会社に恨みを抱かずにいられません。「なぜ、あいつのほうが出世してるんだ!」といった具体的な不満を抱くこともあります。

 人間の業とも言える苦しみを乗り越えるために、名言に救いを求めましょう。古今東西の名言は、人類の叡智の集大成です。人生という険しい道のりを歩む世界中の人々に、励ましや慰めや勇気を与えてきました。つらいときや苦しいときほど、名言に込められたメッセージがより強く心に響いてくれるはずです。

 第三弾は「成長できない自分」がもどかしいあなたに贈る3つの名言を選びました。気持ちを切り替えて、今すべきことを見つけてください。

 ひとつ目に贈りたいのは、夏目漱石のこの言葉。他人からの評価やもたらされる結果は、自分ではどうにもできない領域にあります。不満を抱くのは仕方ないにせよ、その気持ちに囚われるのは百害あって一利なし。今、自分がすべきことに注力しましょう。

名言その1
【運命は神の与えるものだ。人間は人間らしく働けばそれで結構だ】


夏目漱石(小説家、英文学者/1867~1916年)
イギリスに留学後、一高、東京帝大で英文学を講義。『吾輩は猫である』で作家デビュー。その後、朝日新聞の専属作家となる。近代人の孤独やエゴイズムを追求。著書に『草枕』『こころ』など。

 毎日毎日、精いっぱい働いても、苦労が形になって報われるとは限りません。正当な評価を受けられるとも限りません。周囲や世の中を見わたせば、たいして苦労せずにうまくいっているように見える人もいます。「いい結果につながらなかったら苦労が無駄になる」「報われる保証がないのに頑張れない」と思うこともあるでしょう。

 そんなことはありません。私たちは、何のために頑張っているのでしょうか。もちろん、努力や苦労が報われることは、頑張る目的のひとつ。それ以上に大事なのは、「頑張るべきことを頑張る自分であること」ではないでしょうか。

 つまりは、漱石の言う「人間らしく働く」ということ。その先に待つ運命は、神様が与えてくれるものです。自分ではどうにもできません。何はさておき、自分らしく人間らしく働きましょう。それができれば、どんな結果も素直に受け入れられるはずです。

●結論
全力を尽くすという人間らしさを発揮した人の頭上に運命は微笑む