普段からSNSなどでコミュニケーションを取っていれば、仮に何か炎上したときであっても、余計な「延焼」を防げます。発信をせずに会社や経営者の人格がまったく知られていない状態。それはむしろ、リスクなのです。

無味乾燥な「謝罪文」はNG
炎上対応に成功した企業例

 逆に、うまくコミュニケーションができれば炎上すらプラスに持っていけます。

 2023年にスープストックトーキョーが、離乳食の無料提供を開始しました。それを発表した際、SNSでは批判の声が殺到しました。「そんなことをしたら親子連れが押し寄せて地獄絵図になるんじゃないか?」「依怙贔屓だ」「もう絶対に行かない」などなど。

 このような炎上が起きると、会社は無味乾燥な「謝罪文」を出したり、口をつぐんでしまったりします。でも、このときの同社の対応は違いました。こんな発信をしたのです。

私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。私たちは、私たちのスープやサービスに価値を見出していただけるすべての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客様を大切にしていきます。

 この発信はSNSを通じて広まり、多くの人に称賛されました。批判していた人の多くも納得する形となったのです。何よりもスープストックトーキョーの理念がきちんと伝わり、かえってブランドが磨かれました。それはすでに同社のブランドが出来上がっていたこともあると思いますが、炎上したときであっても、自分たちの言葉できちんと発信したからでしょう。

 2021年、あるECサイトがSNSで話題になりました。

 そのサイトには、建設予定の別荘の完成予想図と「今すぐ購入」のボタンがありました。別荘の金額は8億円。アマゾンで買い物をするときと同じように、8億円の別荘をカートに入れる。そのこと自体が話題を呼び、バズっていたのです。ただ、その時点では「少し怪しいな……」「ほんとに建つのかな?」と思っていた人も多かったでしょう。

 実はこれ、「NOT A HOTEL」というスタートアップ企業が展開するサービスです。NOT A HOTELのビジネスモデルを簡単にお伝えすると、別荘のパースをCGで作って先に購入者を募り、費用が集まったら実際に建て始めるというもの。