「まかせる」「待つ」はセット
本人の試行錯誤を尊重する
だが、森林はこう続ける。
加藤弘士 著
「『まかせる』と『待つ』はセットだと思っています。まかせても我慢できなくてすぐ口出ししちゃうとか、逐一進捗状況をチェックするとか、そうやってやる気を削ぐのは簡単です。これはスポーツに限らない。会社の上司にもよく見られる例ですよね。ビジネスなら期限もあるし、待っている場合じゃないかもしれない。でもそこを我慢して、本人に試行錯誤させた上で決めさせることが経験となって、成長につながるというのが僕の考え方です」
ただし、これもバランスの問題であるという。ティーチング=知識ややり方を伝えて正解を教えること。コーチング=質問して問いかけ、本人に考えさせることで学びを得てもらうこと。この2つを0か100かではなく、相手やタイミングに応じて上手に使い分けることが肝要だと言う。
「たしかにウチは自主性や主体性を大事にしているし、自ら考えることを大切にしています。でも全てをまかせているわけではなくて、時期や相手によってはティーチングに重きを置く時もある。そんな中でも、『まかせる』ことの比重は高くしてやっています。10年後や20年後を考えた時、その選手がどう成長できるかを考えたら、まかせて待つ方が絶対にいいですから」